明日の手術に備える夜。
夕食はなく、同室の人に軽く挨拶を済ませると、すぐカーテンを閉めました。
静けさの中で、考えだけが止まりません。
当時の私は、誰かの家に泊まることがほとんどありませんでした。
25年間の同居生活もあり、実家に泊まることでさえ気を使って、年に一度顔を出す程度。
外泊は、二十年ぶりに近い。
環境が変わることへの、ほんの少しのワクワク感。
そこに、明日の手術への不安が重なって、胸の奥が落ち着きませんでした。
でも、いちばん大きかったのは「恐怖」よりも「寂しさ」でした。
右胸がなくなる。
その事実が、ただ悲しかった。
消灯と同時に、病室は静まりました。
数分後、隣の年配の女性のいびきが想像以上に大きくて、思わず驚きました。
少し笑いそうにもなったけれど、正直、うるさい。笑
時計を見ると、もう0時を過ぎています。
それでも眠れません。
ふと、思いました。
どうせ手術中は、嫌でも眠る。
だったら今夜は、最後の自分の胸に「ありがとう」と言いながら過ごそう。
そう決めたところで、意識がふっと遠のきました。
気づいたら、眠りに落ちていました。

