当時の私は、自分の健康に自信がありました。
だから健康診断の結果も、きっと異常はないだろうと、どこかで高を括っていました。
病院から届いた健康診断結果の封筒を、何気なく開けました。
その瞬間、検査結果の用紙と一緒に、茶色い封筒に包まれた手紙のようなものが、ひらりと落ちてきました。
「なに、これ?」
茶封筒には、
「担当医の先生へ」
と書かれていた気がします。
嫌な予感がして、改めて検査結果に目をやりました。
マンモグラフィと子宮の項目に、
見慣れない判定がついていました。
「F」だったと思います。
詳しい文言までははっきり覚えていません。
ただ、
「病院を受診してください」
という内容だったことだけは、強く記憶に残っています。
「まあ、たいしたことはないだろう」
そう思って、あの茶封筒は、しばらくそのままになっていました。
気づけば一か月ほど、ほとんど意識することもなく、日常はいつも通りに過ぎていきました。
そんなある日、テレビのニュースで、
ある女性アナウンサーが乳がんになり、発見が遅れてしまったことで、
がんのステージが進み、余命が数か月だと報じられているのを目にしました。
画面を見ながら、胸の奥がひやりとしました。
「まさか自分が、そんなことになるはずはない」
そう思いながらも、
同時に、あの茶封筒のことが、頭に浮かびました。
きっと大丈夫だろう。
でも、念のため。
そのとき初めて、
「一度、病院に行ってみよう」
そう思ったのです。
それが、受診を決めたきっかけでした。

