「手術後の胸は、どうなってしまうんだろう。」
乳がんで右胸の全摘が決まったとき、頭の中はずっとその問いでいっぱいでした。何度検索しても、リアルな体験談はなかなか見つからない。だから自分のリアルを、そのまま書くことにしました。
包帯が外れた日のこと
入院中のある日、包帯が外されました。
鏡に映った右胸は、ぺったんこでした。
男性の胸のような形に見えました。赤く腫れた傷跡が、胸の横に長く走っています。
想像はしていたはずでした。それでも実際に鏡で見たとき、少し不思議な気持ちになりました。
「本当に終わったんだな・・・」という感覚でした。体の一部が変わった現実を、ゆっくり受け止めているような感じでした。
でもその瞬間、こう思いました。
これからこの胸と、どう関わっていこうかな?
悲しむより、おもしろがろう。
失ったんじゃない、新しい自分が始まったんだ——そう思うことにしました。
そしてスマホを手に取って、写真を撮りました。記録として。証拠として。いつか誰かに届けるために。
80歳まで生きる、という確信
私には根拠のない確信がありました。
80歳まで、必ず生きる。
乳がんは今の時代、治る病気です。だから怖くなかった——というより、怖がっている暇がありませんでした。
この体験はきっと、誰かの役に立つために起きている。そう思っていました。
退院の日、息子の顔を見て安心
退院の日、主人が車で迎えに来てくれました。
病院を出て助手席に座った瞬間、中学2年生の息子の顔が見えました。胸の奥がじわっと温かくなりました。
ああ、帰ってきた。
息子はその後、大きな反抗期がありませんでした。思春期のまっただ中に、母親ががんになった。彼なりに何かを感じ取っていたのだと思います。そのことが今でも、少し切なくて、でも誇らしい。
乳がん手術で行われる病理検査とは
手術中の検査(術中迅速診断)
乳がん手術では、摘出した組織をその場で凍結・染色し、病理医が短時間で確認する術中迅速診断が行われることがあります。
主に確認されるのは次の2点です。リンパ節への転移の有無と、切除した断面にがんが残っていないかどうか。この結果によって、追加の処置が必要かどうかが判断されます。
私の場合は大きな問題はないと判断され、予定どおりエキスパンダーが入れられました。それだけが、あの日の小さな支えでした。
手術後の詳しい病理検査
手術後にはさらに詳しい検査が行われます。がんの悪性度、ホルモン受容体、HER2の有無などが調べられ、今後の治療方針が決まります。詳しい結果が出るまでの期間は、医療機関によって異なります。
出典:国立がん研究センター https://ganjoho.jp/public/cancer/breast/treatment.html
エキスパンダーとは何か
乳房再建を行う場合、乳房切除と同時にエキスパンダー(組織拡張器)が入れられることがあります。生理食塩水を少しずつ注入しながら数か月かけて皮膚を伸ばし、将来の再建手術のためのスペースをつくる装置です。
皮膚が十分に伸びた後、インプラントや自家組織などへ入れ替える再建手術が行われます。
エキスパンダーが入っている間の注意点
エキスパンダーの種類によってはMRI検査に制限がある場合があります。生活上の具体的な注意点は医療機関によって異なるため、主治医の指示に従ってください。
これから手術を受ける方へ
「手術後の胸はどうなるのか」——私も手術前、何度も検索しました。
実際には、手術直後の胸は平らになります。でも、そのあとに再建という選択もあります。そして時間とともに、体も気持ちも少しずつ変わっていく。
もしこれから手術を受ける方がこの記事を読んでいるなら、この体験が少しでも参考になればと思います。
参考:乳がん情報サービス(国立がん研究センター) https://ganjoho.jp/public/cancer/breast/
次は、2週間ごとの通院が始まります
退院後は職場に復帰し、2週間ごとの通院が新しい日常になりました。エキスパンダーへの食塩水注入。少しずつ変わっていく胸。その記録は、次の記事で書きます。
失ったんじゃない。 新しい自分が、始まったんだ。