眠れなかった病室の夜に私が考えていたこと
47歳で乳がんの告知を受け、右胸の全摘出手術を受けることになりました。
手術の前日、病室で過ごした夜のことは、今でもはっきり覚えています。
恐怖というより、心の奥に残っていたのは「寂しさ」でした。
手術前夜、病室のカーテンを閉めた瞬間
明日の手術に備える夜。
夕食は、手術に備えて絶食でした。
同室の人に軽く挨拶をすると、私はすぐにカーテンを閉めました。
病室は静かなのに、頭の中だけが止まりません。
考えが、ぐるぐると回り続けていました。
当時の私は、誰かの家に泊まることがほとんどありませんでした。
25年間の同居生活もあり、実家に泊まることでさえ気を使って、年に一度顔を出す程度。
結婚後、自分のベッド以外でひとりで夜を過ごすのは、このときが初めてでした。
環境が変わることへの、ほんの少しのワクワク感。
でもそこに、明日の手術への不安も重なって、胸の奥が落ち着きませんでした。
怖さより大きかった「寂しさ」
でも、いちばん大きかったのは「恐怖」ではありませんでした。
寂しさでした。
右胸がなくなる。
その事実が、ただただ悲しかったのです。
それも当然かもしれません。
47年間、ずっと一緒にいた体の一部なのだから。
女性の象徴がなくなる。
私はこれからどう変わるのだろう。
そんなことを、静かな病室で考えていました。
静かな病室で起きた、少しだけ笑った出来事
消灯と同時に、病室は静まりました。
……と思った数分後。
「ゴーッ」という低い音が聞こえてきました。
驚いて耳を澄ますと、隣の年配の女性のいびきでした。
想像以上に大きくて、思わず驚いてしまいました。
少し笑いそうにもなりましたが、
正直……かなりうるさい。(^ー^;)
「耳栓が必要だな」と思ったのは、この時でした。
いろいろ考えているうちに時計を見ると、もう0時を過ぎています。
それでも、なかなか眠れませんでした。
右胸と過ごす、最後の夜
そのとき、ふと思いました。
どうせ手術中は、嫌でも眠る。
だったら今夜は、最後の自分の胸に「ありがとう」と言いながら過ごそう。
47年間、ずっと自分の体の一部として一緒にいてくれた。
そう思うと、自然と感謝の気持ちが湧いてきました。
「いままでありがとうね」
右胸をそっと触りながら、心の中でそう伝えました。
ジタバタしても仕方ない。
覚悟は決めた。
生きるために、これからいろんなことを乗り越えていこう。
そう思ったところで、
いつのまにか意識が遠のいていました。
気づいたときには、静かに眠りに落ちていました。
これから手術を迎える人へ
乳がんの手術前夜は、
恐怖よりも、言葉にできない感情が押し寄せてくる時間でした。
不安もある。
寂しさもある。
でも、その感情はきっと自然なものなのだと思います。
私にとってこの夜は、
右胸に「ありがとう」と伝える時間になりました。
きっとあなたも大丈夫。